バランスが大切?

息子が通うプリスクールでは、親がかなり自由にスクールの活動に参加できます。ボランティアとして教室でのアクティビティのお手伝いもできるし(つまりスクールでも子供と一緒に過ごすことができる)、またランチの時に合流して、カフェでお昼を一緒に食べたりもできるのです。
それで今日は息子の希望もあって、一緒にランチを食べて来ました。いやぁ、これがなかなか興味深い体験だったのです。


このスクールはカソリック教育のスクールです。私はカソリック教徒ではありませんが、オットはカソリック育ち。「かなり厳しいと思うけど、子供のためにはいいだろう」ということで通わせることにしたのですが、その「厳しい」の意味が、今日の短いランチの時間でも垣間見ることが出来ました。

まず、ランチを食べるカフェへ移動する時ですが、これはきっちり1列になって、さらに右側の壁沿いにまっすぐに歩いて移動します。それはまるで「アリの行列」、息子に言わせると、この時「壁沿いには歩くけど、決して壁を触ってはいけない」のだそう。
そして食事中は、「ソーシャルの時間」ということで生徒同士は自由におしゃべりできるのですが、先生に話しかける時にはかならず右手を上げて、先生に指名されるのを待ちます。この時「アップルを切ってください」とか「ストローをさしてください」とか、皆とても丁寧にお願いしていました。
食事中は飲み物を飲むことは許されていないのだそうです。これには驚きました。「飲み物を先に飲んでしまってお腹が膨れることを避ける」ためらしいですが、それにしてもピーナツバターのサンドウィッチやピザを飲み物なしで食べるのは、ちょっとつらくなしかしら、と思いました。息子のおにぎり弁当だって、せっかくそれに合うように麦茶を持たせているのになぁと思ってしまいます。

食べ終わると、各自でトレーを片付けて、その後今度はテーブルの上に頭を乗せてうつぶせのポーズを取るのがルールだそうです。これは私には全くわけが分かりません。後でオットに聞いてみると、「大人しく席に座っていなさい」ということだろうと言っていました。それは分かるけど、どうしてこんな妙なポーズを取らせるのか。

そして先生が「XX君のテーブル!」と号令をかけると、そのXX君のテーブルに座っていた子供から順番に立ち上がって、また壁沿いにきれいに1列に並んでいきます。全員が並び終わると、先生を先頭にして、また「アリの行列」で教室まで戻っていくのです。

食事中の先生もかなり厳しく子供達の食べ方を注意していました。「サンドウィッチをもう一切れ食べなさい」とか「ピザをもう一切れ食べなさい」とか、「ハムを残しちゃいけません」とか、とか。そして無駄話は一切なし。例えば私が予想していたような、「今日はママが来てくれてよかったわね〜」なんて発言は先生からなしです。私もまるで生徒の一人になったような気持ちで緊張してしまい、食事もどこに入ったんだか分からなかったほどです。
それでも隣に座っていた男の子が、「XX君(息子の名前)のママ、XX君(息子の名前)のママ」と言って、いろいろ話かけてくれました。「僕はね、一度も電車に乗ったことがないから、いつか乗ってみたいんだ」「マックイーンの映画が大好きなの」「パパがガラージの天井にボートを持っているんだよ」などなど。
私が箸を使っていたのも興味を引いたようで、子供達の熱い視線をバシバシ感じました。息子がおにぎりを食べている時には「XX君(息子の名前)のママ、あれはなんですか?」と質問が出たので「ご飯よ」と答えると、中の一人の子が「僕もご飯大好き!」と言ってくれました。

短い時間でしたが、礼儀と規律をしっかり教えてくれているのだなと実感し、来年6月までに息子がどれだけ成長してくれるだろうかと楽しみになる一方で、自分の幼稚園時代を思い出しながら「こんなに厳しかったかしら?」と思ってしまったのも事実です。
だって、今日は現場には出くわしませんでしたが、お仕置きもかなり厳しい様子で、息子自身も「廊下で大声を出していたら起こられて、テーブルに頭をつけて座っていなさいと言われた」と言っていましたし、また「今日はXX君がちゃんと列に並ばなかったので、おやつはもらえなかった」なんて言っていたこともあるんです。


礼儀正しく育って欲しいとは願いながら、同時にやはりある程度は伸び伸びとも育って欲しいし、そのうまいバランスが大切なのではないかと考えさせられました。