アップル・サイダー

さて、秋といえば日本では「食欲の秋」。おいしいものがたくさんいただける季節ですね。秋刀魚、恋しい〜、栗拾い、行きたい〜。でもここでは(私の住む場所に限定しますが)、秋といえばりんご、かぼちゃの収穫です。かぼちゃは食べるかぼちゃと飾るかぼちゃ(秋のデコレーションとしてかぼちゃは必需品)があって、きっと誰もが思い浮かべるであろう「オレンジ色のハロウィンかぼちゃ」はデコレーションのみで食べません。日本で売っている皮が緑色のものは見かけず、「バターナッツ・スクワッシュ」というひょうたんのような形のかぼちゃが一般的なようです。

さて、一方りんごですが、これは種類はもう数え切れないほど。だいたいバケツにいっぱいいくらという感じで売っていますが、アメリカ人にとってこのりんご、秋だけのお楽しみな特別な頂き方があるんです。それが「アップル・サイダー」と呼ばれる飲み物。

日本語でサイダーというと、炭酸をイメージしがちですが、ここでのサイダーは「絞ったままの果汁」、つまり、りんごをぎゅ〜〜〜〜〜っと絞った、砂糖もビタミンも加えていないまさにりんご汁そのままのジュースのこと。うちの近所では、こうしたアップル・サイダーを絞って売ってくれるお店が秋から冬にかけてだけオープンします。大きな機械にもぎたてのりんごを並べ、分厚い板で挟んで圧縮すると、下からゴールデンカラーのサイダーがドクドクと流れてきます。この時のいいにおいといったら…。味わいはジュースよりやや酸味がありますが、とにかくフレッシュなのど越しです。

ここでは「ホーランバック(サイダー屋さんのこと)がオープンしたよ」と聞けば、「ああ、秋もまっさかりね」と思うと同時に、「じきに冬だね…」と、過ぎ行く季節に名残惜しい気持ちになるのです。