Facebook

日本ではまだ認知度が低いようだが、世界最大のSNS(Social Networking Service:ソーシャルネットワーキングサービス:人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型のWebサイト)であるFacebookフェイスブック)の認知度、人気度、活用度はこの国ではかなりのものである。2011年現在、世界中に5億人を超えるユーザーを持ち、創業者のマーク・ザッカーバーグはタイム誌で2010年の「今年の顔」に選ばれ、Facebook創設への経緯を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」も公開された。

そもそもは、2004年にハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグが、ハーバード大学で学生同士が交流を図るために作ったものだ。その後、スタンフォード大学コロンビア大学、イェール大学などの学生からの「同じようなサイトが欲しい」との要望に応え、いわゆるアイビー・リーグの学生にも開放。そして徐々に全米の学生に開放され、2006年9月までには一般に開放され、誰でも利用できるようになったのだそう。(ウィキ抜粋)

かく言う私もユーザーである。というか、まだFacebookがナニモノかも知らない時に、義姉から「招待状」が来て、それでクリックしているうちにメンバーになっていた、というのが本当のところ。
が、それ以降、私の日常には欠かせないツールになっている。というのも、とにかく友達との交流が手軽にできてとても便利なのだ。相手を「お友達」として登録しておけば、後は「顔写真」をクリックするだけで先方にメッセージが送れるので、メーラーに登録された莫大な数のアドレス帳から該当するアドレスを探し出ししだしたりする手間も省けるし、なにより、メールより気軽に書き込みができる。さらに友人達に知らせたい情報や見せたい写真が簡単に添付できるのも素晴らしい。

こうしたパーソナルな利用に加えて最近気になるのが、自分の気に入りのお店、ブランド、企業などのページである。いち早い新製品情報はもちろん、Facebookユーザー限定の割引情報なんかも目立ってきて、企業側もFacebookを通しての顧客とのつながりを重要視してきているのが見てとれる。
特に最近よく見かけるのがトラブルがあった時の投稿だ。例えば、某有名雑貨店からエリアラグを買った客が、その店のページに「届けられたばかりの新品のラグに黒々と残された大きなシミ」の写真をアップした。写真に添えられたコメントには「信じられない!たった今、届いたラグに配達員がこんな大きな汚れを残していった!」とある。すると、そのコメントに、それを見たユーザーから膨大な数のコメントが寄せられる。「すぐにカスタマーサービスに電話するべきよ」「こんなことがあるのね、信じられない!」などなど。そして該当する店のコメントもすぐにアップされた。「大変申し訳ございません。すぐにXXXへご連絡ください。しかるべき処置をとらせていただきますので」。

また、ナショナルチェーンのベーカリーのページでは、ある客が「真っ黒焦げのサンドウィッチ」の写真をアップした。「こんなことがあっていいと思う?」、するとまたそこにも膨大の数のユーザーのコメントが残される。「あの店ではよくあるのよ」「こんなの食べられないわよね」。そしてベーカリーからのコメントが「すぐにマネージャーに見せて返金をもらってください」と。

普通なら、なにかトラブルがあった場合は、すぐにその店のカスタマーサービスに電話するなりメールを送るなりするのが当然と思うけれど、それよりも反応が早く得られるからということなのだろうか、こんな風にトラブルを対処しようとする人が増えてきているようなのだ。もっともこの対処法は客側に有利であることは間違いない。証拠写真を世間に見せ付けることができるし、それに対する会社側の反応は誰でも見ることができる訳で、仮にその対応が会社本位のものであったりした場合、世界中のユーザーから「たたかれる」ことは目に見えている。

そういえば数年前に、GAPがそれまで20年ほど使い続けてきた「青い箱」のロゴをやめて新しいロゴに変えると発表した直後に、またすぐ古いロゴに戻すという出来事があったのを思い出した。古いロゴに愛着を感じていた顧客たちがFacebookで「もうGAPでは買い物をしない!」と大騒ぎしたためだ。GAP側は当初「キミ達からのアイディアを待ってるよ」なんてコメントをしていたが、結局は元のロゴに戻さざるを得なかった訳だ。

一方、悲しい事件も多々起きている。ネットでのいじめである。「焦げたサンドウィッチ」の写真に、莫大な数のコメントが寄せられたように、ある特定の個人を対象にして、膨大な数の誹謗メッセージが寄せられ、行き場をなくした挙句に、命を絶っていった若者がたくさんいるらしい。

一人の声は小さいけれど、それが10集まり、100集まり、1000集まり・・・、企業の決断を左右し、人の命さえも操る。

SNSは今や脅威のツールだ。


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