シェルちゃん、感動の初泳ぎ

我が家のゴールデン犬シェルビー(通称シェルちゃん)も8ヶ月になりました。子犬の時、「成長が早過ぎる」とドクターに言われて、早々に子犬の餌から大人の餌に切り替えたせいか、以後成長がのんびりしてきて、割に小柄なゴールデンになりそうですが、それでもこんなのが家の中にいると、結構なもんです。

さてさて、ゴールデンに限らず犬は泳ぐのが大好きと言われますが、モノの本によると、特にゴールデンは夏場は水遊びをさせなくてはならないというので、我が家のシェルちゃんにも初泳ぎを体験させてあげようということになりました。で、早速私は「ライフジャケット」を購入。オットは横で「犬なんだからさぁ、生まれながらにして泳げるんだよ」と笑っていましたが、うちのシェルビーに限っては、どうも疑問が…。なんとなく、彼女ったらシャープさに欠けるというか、なんというか。まぁ、とにかく「万が一のため」ということで、輝くオレンジ色のライフジャケットを着せられたゴールデン犬は、初泳ぎのため、近所の公園にある川に向かったのでした。

この日は快晴でとても暑くて、公園には小さな子供がたくさん水遊びに来ていました。そんな中、車から降り立ったシェルちゃん。ライフジャケットを着けている犬など一匹もおらず、いやでも目立ってしまいますが、本人は、子供が大好きなので、もう嬉しくってしょうがないという感じでしっぽを振り振り歩いて行きます。「この辺でいいだろう」と、子供の肩くらいの深さがあるところで、オットが持っていたボールを川へ放り投げました。と、シェルビー、「じゃぼん」と音を立てて、ボ−ル目掛けて飛び込んだ。「おお、やはり、犬だったか」と思った矢先のことです。シェルちゃんったら、「やだ、これ、なに?」ってな感じで、そりゃぁ慌てて岸へ引き帰してきたではありませんか。「犬泳ぎ」なんてもんじゃありません。まさにそれは「おぼれる寸前の犬」みたいな悲惨さで、手足をバタバタさせながら、必死の思いで泳いでいるという様子。で、岸にたどり着いたら、もう川へは戻れずに、岸辺を行ったり来りしながら、「私のボール、誰か取って」と言わんばかりに、ただひたすらウロウロするばかり。「ほれ見た事か」とオットを見ると、彼は大笑い。「ね、だから言ったでしょ。犬だからって泳げるわけじゃないんだよ」、ライフジャケットに感謝の瞬間です。

それを周りで見ていた子供達が集まってきました。「この犬、泳ぐの怖がってるの?」と小さな男の子が聞いてきます。「そう、初めて泳ぐんだ」とオット。すると、その子供達がさかんに「シェルビー、こっちへおいで」「ここなら深くないよ」と、ボールを手にして、なんとかシェルビーの水への恐怖を克服できるようにと、一緒になって励ましてくれます。元々子供好きなシェルビーなので、子供と一緒に遊びたい気持ちは山々なのですが、なんせ水が怖いらしい。相変わらず岸辺を行ったり来りするだけ。男の子は今度は、彼らの膝ほどの深さのところへ行って、岸辺にいるシェルビーの鼻先でボールを振りまわし、そのままなんとかシェルビーを水の中へ誘導させようとします。と、シェルビー、ちろっと水の中に一歩を踏み出しました。が、すぐに戻ってきてしまいます。そんなことを、15分も続けたでしょうか。シェルビー、やっと「ここなら足がちゃんと着いて、歩くことができるんだ」と悟ったようです。恐る恐るではありますが、子供たちの声援に応えるように、ちゃぽんと水の中に入っていきました!!「やった〜〜〜!!」「シェルビー、やったね!」と、男の子達から歓声があがります。「怖くないんだ」と一度分かってしまえば、後はやっぱり犬の本性でしょうか。水が楽しくて仕方がない様子。シェルビーったら、飛沫を上げて、川の中を走り回っています。本当に楽しそう。

岸で一部始終を見守っていた私は、なんだかとても感動して涙が出てしまいそうでした。犬と言えども、子犬の頃から家族の一員として育てて来たので、それはまるで「泳げない子供が泳げた瞬間」と同じに見えて、「シェルビー、よくやったね」という気持ちで胸が詰まってしまったのです。子供が生まれたら、それからの毎日は、きっとこういうことの繰り返しで過ぎていくのだろうなぁ、とその時思いました。初めて笑った、しゃべった、歩いた、走った、などなど。私がこれまでの人生で経験したことのない、いろんな感動があることでしょう。そうあって欲しいと願うmom-to-be
なのでした。