ウォオ〜〜〜、地震だ!

それは昨日のこと。突然の揺れで目が覚めた。その瞬間、「この揺れには覚えがあるわ。紛れもなく、これは地震。」と確信する一方、「でもさぁ、NYで地震なんて聞いた事ないしなぁ。なんか工事でもしているのかしら?」などと考えて、寝ぼけ眼で時計を見る。

朝の6時53分。
工事するにはちいとばかし、早過ぎないか。しかも週末だしな。と、レイシーも揺れを感じているらしく、「ええ、これなに?」ってな顔で私をじっと見上げて不安顔。そのうち、ドレッサー上の小物達が、カタカタと音を立て始めた。「んん、こりゃ起きた方がいいかしらん」、と思ったところで、揺れが止まった。

ホッ。

急いでベッドから這い出して、別部屋でミニーと寝ているオットの様子を伺いに行く。ミニーとレイシーの折り合いが悪いので、夜は私がレイシーと、彼がミニーと寝る日々が続いているのだ。ドアを開けると、何事も気づいていない高いびきのオットと、傍らのミニー。両人とも揺れに気づいていないのだ。

「ねぇ、起きてよ。今の揺れって地震だったよね?」
「・・・・? え、なに?ジシン?zzzz・・・」
「地震だったよね」
「zzzZZZZ・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・

仕方がないので、再度ベッドに戻った私。して、次に起きたのは11時頃だった。(週末だもん、いいんだよ〜〜〜ん。)それも、どこからか電話がかかって、オットが受け答えしている声で目が覚めた。「ねぇねぇ、今朝、地震があったかどうか聞いてみてよ」と隣から声をかける。「ああ、あのさ、ワイフが朝方地震があったっていうんだけれど…、アハン、やっぱりそうだよね。いや、ごめん。うちだけだった(笑)。バイ」、だって。口調がすっかりバカにしている。しかし、同じ町に住んでる人に「地震なんてなかったよ。あるわけないじゃん」と言われたので、私も内心「やっぱり、大きな車で通ったのだろうか」と思い始めていた。

でも、日本人ならわかるんだ!あの揺れは、からだが覚えている!

と。突然遠い記憶がよみがえった。ず〜〜っと以前、横浜に住んでいた時のこと。床に座ってテレビを見ていたら、突然「どす〜〜ん」と音がして、アパートが揺れ始めたのだ。「お、地震だ」と思い、自分で「震度4だな」、などと考える。そうして、急いで、いつもそうするようにNHKのニュースにチャンネルを変える。通常ならここで「今入ったニュースです」が流れるはずだ。ところが、その晩は地震に関するニュースが一切なかったのである。都会のアパート暮らしでは隣人との交流などあるわけもなく、また同地域に住んでいる知人もいなかった。不思議な心地のまま、朝を迎えた私は「よし、こうなったら気象庁に電話するしかないのだ」と決め、イエローページを引っ張り出す。

なんと。やはりその晩、地震はあったのである。しかしながら震度はなんと1(だったと記憶している)。「あまりに小さい地震は、いちいちニュースにしないんですよ」とは、電話に対応してくれた職員の方。なるほど。地震大国日本では、日常的に地震が起きているわけで、それをいちいちニュースにしていてはキリがないわけだ。「じゃ、なんで、私のうちはあんなに揺れたのでしょうか?」「恐らく、お宅の真下あたりが震源地に近かったのかなァ」。

この話を思い出したものだから、勢いつけてオットにまくしたてた。「あれは、絶対地震だってば。嘘だと思うなら、ウェザーニュースにでも電話してみたら。」すると、オットも興味を持ったらしく、イエローページをめくり始めた。

数分後。大ヒット。「あ、本当ですか。あったんですか、地震。新聞に載ってますか?ああ、ありがとうございます」、地元警察へ電話したらしい。電話を切るなり、お互いニヤリ。へへ、だから言ったじゃないの〜〜〜、地震だって。

アップステイトNY生れ育ちのオットは、東京に滞在していた折にしか地震を体験していないのだそうで、しかし「あの揺れは、覚えているんだけどなァ」と、今回の地震に気づかなかったことが少し悔しいみたい。新聞に寄ると、震源地は北部のブラッツバーグ辺りでマグニチュードは5.1、「モデレイト(並)」の大きさだったらしい。

実家が神戸で、家族が震災を経験していることから、日本にいたときは、リュックにお水やお菓子などを詰めて置いてあったほど用心していた私。しかし、ここNYでは地震など起こらないと思いこんでいたので、全く無用心な我が家であった。実際はいつなにが起こるかなんて、分からないんだから、万が一のことを考えておかなくては。「備えあれば、憂いなし」、その通りである。

さて。新聞の地震に関する記事の最後はこんな1行で締められていた。「もう、こんなこと信じれないわ。だって、これが生れて初めての地震なんですもの。。。」